Fantôme

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Fantôme

 

「道」

Fantômeは”明るいぜ、心配すんな”
という方向性を示した曲だと
ひっきーも言ってましたが、
本当に明るいスタート(笑)
一言に”明るい”と言っても、
色々な種類があるけど
「道」の明るさは暗い洞窟から
やっと抜け出したような…
ずっと奥に見える小さな光を目指して
彷徨って、ようやく出口だ…
そんな感覚だと思う。
今迄に無いくらいのストレートで
何かを決心したものの歌でした。
そしてこれまでにはなかった
(宇多田的)EDMな曲調
引き出しが無限だな…
調子に乗ってた時期っていつだろうか(笑)

 

「俺の彼女」
こちらも今までになかった
男女の駆け引きを歌った曲
ひっきーの曲は中性的なものが多いけど
男と女をはっきりと分けて
詩を書けるようになったんだね…
兎に角聴いてほしい。
「俺には夢がない望みは現状維持
何時しか飽きるだろうつまらない俺に」
ひっきーのこういう男性像は
どこからきているんだろう(笑)
強がりな背伸びした男性
ひっきーは本当に繊細な天才だ。

 

花束を君に
この曲でFantôme本編がスタートする。
ストレートな曲が2曲続いた後に
炸裂する詩的で優しいメロディーラインは
朝ドラのイメージに決してのまれない。
宇多田ヒカルは天才だと、
その才能は進化していると確信させる1曲。
人間活動を経て母に成った
新たな宇多田ヒカルが感じられる。
曲を通して終始聴こえてくる
”吐息”が非常に心地良い。

 

「二時間だけのバカンス feat. 椎名林檎
嗚呼、林檎嬢の魅力が溢れ漏れている。
僕はやっぱり他人が書く詩を奏でる
林檎嬢が好きだ。
作詞家であると語る林檎嬢
歌い手としての部分を
最上級に活かせる人間が
ここにおりましたよ皆様。
「顔を見なくても林檎ちゃんとなら
デュエットできる。」という

ひっきーの言葉通り、
二人の母に濡らされます。

 

「人魚」
Fantômeを電車に例えると、
乗り換え地点にあたる曲だと思う。
4曲終えた時点で
感情が爆発しそうだったので
丁度良い。

 

「ともだち feat. 小袋成彬
テイストが力強くグッと変わる。
手を引かれて、こっちだよ!
といった具合に…
初期のひっきーが得意とするテンポ。
曲自体の構成は単調なのに、
小袋成彬の耳にスッーと入る歌声と
終わり方が非常に綺麗なので
え?もう終わり?という感覚になってしまう。
「君の1番じゃないと意味がないから」
ひっきーからこんな詩が
飛び出すなんて…
彼女が苦手としていた
愛のむきだし
ここにも変化が感じられる。

 

真夏の通り雨
「ともだち」からの流れが素晴らしい、
Fantômeの中で最も美しい。
この曲に関しては
適切な言葉が見つからない。
1つ1つの言い回しに身が震えるけれど
不思議と涙は出ない。
この曲は悲しい曲ではないから…
だから7曲目という立ち位置も頷ける。

 

「荒野の狼」
吐息!吐息!吐息!
Fantômeの中で1番好き、個人的に。
稚拙な表現だけど、ヤバイ。
ひっきーの歌はいつも
碇シンジがモデルだと思って
聴いているけれど(勝手に)
これは誰だ…兎に角最高だ!
こんなひっきー見たことない!
…あ、アスカかも。

いや違うな(笑)

 

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「忘却 feat. KOHH」

MVこい!MVこい!

「荒野の狼」までを中盤とすれば
暗転し、ここから終盤へ。
HIPHOPのアーティスト以外が
KOHHを客演に迎えるというのは
かなり難しいことだと思うけど
宇多田ヒカルはそれさえも包み込む。
KOHHのイメージするものと
ひっきーのイメージするものとが
絶妙に混ざり合っていました。
「おもしろいかも!」で実現した
コラボレーションだと言ってたけど
KOHHと死生観が通じていること、
「いつか死ぬ時 手ぶらがbest」的な
生き方・考え方が一致していることを
ひっきーは感覚で感じとっていたんだね。
パートは圧倒的にKOHHの方が多いけど
”feat.”宇多田ヒカル”とはならないのが
ひっきーの凄さ。
3:30〜からのKOHHのリリック…
言葉が出ない…
HIPHOP的な表現をするとクラシック。
”熱い唇”、”強いお酒”、”硬いジーンズ”

”冷たい手”、”怖い夢”、”優しい目”
言葉なんか忘れさせて………


「人生最高の日」
Fantômeを締めくくる”最後”の曲。
ULTRA BLUE」の「虹色バス」も
そうだけど、ひっきーらしい選曲ですね。
何だかんだ言ったけど
未来は明るいよって
一寸先は闇でも二寸先は明るいよって
そう思って生きようよって…
ありがとう。
ひっきーのそう言うところが大好き。
一生ヒカルパイセンに着いてくよ!

 

 

 

桜流し
何故これを入れたのだろうか。
他の曲と比べ異質過ぎる…
怖い。
ひっきーも「最後にしか置きようがない」
と言っていた通りだ。
これはアンコールでもないし、
エンドロールにも当たらない。
はっきり言うと浮いてる。
次元が違うというか、これまでの曲と

同じ人物が書いたのか?と疑うレベル
それ程までに淡く、儚く、美しい。
人間活動前の宇多田ヒカルが作る
集大成であり、最高傑作であるとも思う。

 


邪推
Fantômeは当初
「人生最高の日」までの
10曲収録だったと感じる。
いや断定する、絶対にそうだ。
桜流し」には他の10曲に
一貫して共通しているテーマが
唯一当てはまらない。

制作期間が違うということもあるが
大人の事情により

収録せざるを得なかったのだろうか。

し・か・し
Fantômeには
桜流し」が無いと完成はしない。
何故だか今はまだ分からない。
弟くんの意見を待つことにしよう。

 

総括
何年も待ち望んだひっきーの
新しいアルバムは素晴らしいものでした。
”人間”宇多田ヒカルの変化を感じとれたし
これまでと違った面も沢山見れた。
そしてアルバムとしての完成度、
構成、ストーリー性
どれをとっても
流石としか言いようがありません。
お疲れ様でした。
そしてありがとう。
もしいつかLIVEをするなら
必ず、必ず行くからね…

語彙力が無いのでこの感動を上手に
表現することが出来ないけど
ひっきーもこの気持ちを
分かってくれるはず。
今迄、上手に伝えられなかった
母への思いを色々なアプローチで
不器用だけどはっきりと
真っ直ぐにぶつけている。
それがFantôme(母の面影)なのだから。